泉花凜の文字語り

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新しい発見だったこと。

エッセイ 新しい発見だったこと

 

自分の小説が、純文学だといわれた。

それは今まで思ってもみなかった発見だった。

ずっと、エンタメ系の新人賞に応募していた。あの時は若かったから、その中でもライトノベルライト文芸の賞を狙って出していた。

三十代に入り、私の中の、書くものというか、文体というか、世界観といえばいいのか、そういったいろいろな中身が変化してきたように思う。年齢を重ねて、得意だったものが苦手になったり、受けつけなかったものを好きになったりと、大人への段階を踏み始めたということか。

創作仲間に指摘してもらって、初めて気づいたことだった。

純文学。自分と交わらないと思っていたジャンルが、自分の中に芽生えていた。あるいは最初からすでに眠っていたのか。

執筆し、応募する先を、変えてみるのもいいのかもしれない。

一般文芸には、手が届かないと思っていた。自分とは縁のない、質の高い高尚な人たちが挑戦すべきジャンルなのだと。

自分が高尚になったなんて、そんな傲慢な態度は一切取れないが、駄目だと思い込んでいたジャンルが駄目ではないと気づき始めた時、私の小説観が変わるチャンスなのかもしれない。

一般文芸の賞は、ライト系のように評価シートはもらえないし、講評も最終選考作品にしか適用されないし、厳しい文学の世界だと敬遠していたけれど、年を経て、自分がもう十代の心から遠いところに進んでしまった自覚ができ始めた頃だ。そろそろシフトチェンジの時なのか。

かろうじて、二十代の登場人物ならば書けるのではないだろうか。思春期のモラトリアムから抜け出るような時が来るとは微塵も思っていなかったけれど、こうして十代の子どもたちの感覚がもうわからないように、そのうち二十代の若者の気持ちもわからなくなるだろうから、やはり今書けるものを書くしかないのだ。年齢という壁は大きいのだ。

純文学。ただ純粋に文学を追求した小説。私はそう捉えているが、人によって解釈の違いは多々あるし、一作の小説を読んだだけでも、読者の数だけ答えが見える。それが小説の難しいところと素晴らしいところだと思っている。

私の書くジャンルが、いよいよ変わってきたのだと、改めて意識した瞬間だった。

 

2023年7月4日火曜日

 

 

 

 

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