泉花凜の文字語り

Web小説家の文字語り置き場

毎日ぽむぽむ2023 「創作意欲」

 

三月まで、一つの作品を仕上げるためにひたすら書いていた。書く。書く。とにかく書く。そのくり返しで、キーボードを打ち続ける日々を送っていた。

四月。書く衝動は少し落ち着き、新作のプロットを練って、アイディア探しのためにインプットをしたり、出来上がった作品の推敲に励んでいる。

しかし、ここが最大の難関で、私は推敲が死ぬほど苦手だ。出来上がると解放感と達成感で頭が沸騰してしまい、脱稿ハイというやつにかかって、しばらく頭と気力がぼーっとしてしまう。創作意欲も湧かなくて、自室のベッドで横になる休日を過ごし、眠りこけて一日が暮れるという怠惰な私になってしまう。

そのおかげで推敲に頭が回らず、作品を寝かせている間は、とかく私は木偶の坊の状態だ。何の役にも立たない。燃えカス同然である。

もともと気象病で、この時期は季節の変わり目の影響を受けて体が使い物にならない。春の三寒四温が苦手だ。貧弱体質の自分には気候は油断大敵である。

十代の時の創作意欲に戻れたらと、しょっちゅう嘆いてる気がする。年は三十路をいくらか過ぎ、いよいよ人生をがんばらねばならない段階である。でもそれがプレッシャーなのだよ……。わかってくれ……。「大人になる」とは、どういうことなのか、いまだに私はわからない。子どもでなくなる時か?だとしたら、子どもの頃の柔軟な思想や、有り余る体力が失われていくのだから、大人になることは実にぞっとしない話だ。

精神を、十代の若者に戻したいと感じる。筆が止まらないほどの興奮、書きたいこと、語りたいことがあふれて書くのが追いつかないという幸福を、もう味わえないのだろうか?いや、そんなことはないだろう。妄想は人の生み出した産物なのだから、それを大いに利用して、十代の活力を妄想すればいい。そしたら創作意欲を何とか取り戻せるのではないだろうか。某漫画家さんがおっしゃった「自分を十代だと思い込め!」論は今世紀最大の格言だと個人的に思っている。

私は、まだまだやれる。そう思えるのは自分次第だ。自分が自分を殺さない限り、創作は永遠である。最近は私自身が私の心を押し殺してしまっているきらいがあるので、そこを何とか脱却し、もう一度、心が赴くままに創作をしたい。

私にとって、物語の創作は、自分が自分であるための繋がりなのだから。

誰に届くかもわからないラブレターを、当てもなく出し続けている。創作とはそのような行為に似ている。顔も名前もわからない「あなた」に、言いたいことがある、伝えたいメッセージがある。そういった主義主張を、物語という婉曲表現を使って表すのが、小説というものなのかもしれない。

私のメッセージが、どこかの世界の、誰か一人にでも、届きますように。伝わりますように。

 

 

2023,4,3(月)

 

 

 

 

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