児童文学作家・角野栄子先生の日々の暮らしを追ったドキュメンタリー映画。
角野先生のご実家がポップで可愛いデザインにまとめられており、まるで絵本のような一軒家で素敵だった。ご本人もその家になじんでいるかの如く、少女のように可憐に物事を話し、快活に笑い、明るく溌溂とした方だった。「ご近所の、親切で気さくな可愛いおばあさん」みたいに素敵な方だ。
先生の半生を追うというよりは、普段の彼女の暮らしを観察するといった感じの構成で、穏やかに淡々と時間が過ぎていく、上質な文学作品のように穏やかな映画だった。
角野先生は赤やピンクが好きなのか、さまざまなファッションに明るい色がちりばめられ、苺の柄やドット柄など、見ていて楽しい洋服を着こなしていて、自分も年を取ったらこんな服が似合うおばあさんになってみたいと思った。
ドキュメンタリーの最後に、角野先生がおっしゃったメッセージで、はっとした言葉がある。
一度しか観に行ってないのでニュアンスでの言葉になってしまうが、
「“書く”ことは、喜びなの。“喜び”じゃない人もいると思うけれど、その人たちもいつか“喜び”を見つけられるんじゃないかしら?」
といったことを伝えていた。
最近、執筆行為がつらくなっていた私には、胸にくるメッセージだった。
私もいつか、自分の“書く”行為を、至高の喜びだと胸を張って言いたい。
晴れた休日の午後にふらっと立ち寄って観てみたい、日差しのようなドキュメンタリー映画だった。
(『魔法の文学館(角野栄子記念文学館)』行ってみたいです!内装からして可愛い!ときめく!)
令和六年二月八日木曜日