泉花凜の文字語り

Web小説家の文字語り置き場

毎日ぽむぽむ2023 「足掻く」

 

今日も明日もどんどん過ぎていく。時間は弓矢のように早く私を追い越してしまう。立ち止まっている間に、悩んでいる間に、時の流れはあっという間に姿を消していく。時間泥棒という言葉があるが、それが本当に実在しているのではないかと疑ってしまうほどだ。


今日やったことと言えば、昔に書いた短編小説を、今の応募のフォーマットに直して何枚になるか数えたぐらい。応募規定内の文字数に収まったので、応募資格はあるのだが、果たしてこれが受賞できるレベルなのか、おもしろいと人様に思ってもらえる作品になっているのかと思うと、とたんに体が震えて何もできなくなってしまう。


自分の理想を高く設定しすぎている。自分なんてこんなもんなのに、「こうなりたい自分」がハイレベル過ぎて、現実の自分との落差に自分自身がいちばんショックを受けている。


人と比べることが悪いのかもしれない。SNSを閉じてしまおうか?みんな速筆だったり、もう十作品以上もの長編を仕上げたことのある猛者だったりして、化け物クラスの作家志望者が世の中にはごまんといて、私の出る幕なんかないんじゃないかと思ってしまう。どうしても。


長編小説を、未完結は含まずに、いくつ仕上げたかどうか数えてみる。消してしまった作品もあって(私の馬鹿―!!)正確な数はわからないが、五、六本ほど書き上げていた。少ないが皆無ではないなと思い、ほんの少し安心する。長編小説は十本以上は生み出したいと思っているので、最低ラインに乗せるにはあと四本、執筆が必要だ。


書きたい、と思う。小説を。その願望が、欲があるから、まだここにいる。もう書かなくていいや、と悟ってしまえるほど、私はまだ泥臭くなれていない。


落選するたびに、みじめだ、と自分の心が泣いている。落選作を投稿サイトに上げるのも今はやめてしまった。Web小説と公募の小説では根本的に求められるものが違うから、ネットで見せても読者からの反応は返ってこない。つまり、Web読者は紙の本を読まないし、紙の本を好む読者はWeb小説を読まない。そもそもが住む世界の違う話なのだ。


思うように小説を執筆できず、悶々とする日々が続いている。どうしよう、と迷う心が手元の筆を狂わせる。自分に自信がないのが問題なのか、書くたびに迷いが生じ、書いては止まり、書いては止まり、気がつけば一日に千文字も到達できていない。


速筆とは、遅筆とは、どこからどこまでを定義するのだろうか。人は一日に何文字あるいは原稿用紙何枚を稼げば筆が速いと言われるのだろうか。筆が遅い作家はそんなに駄目だろうか。


今日はもう読書をしよう。いったん執筆から離れ、他の人の書いた活字に触れておこう。せめて八月になったら何かしらの創作に取り掛かりたい。


書くことしかできない。ままならない私の体。人並みの体力すらないせいで、何もかもが人より遅れてしまう。けれどきっとそういう人はたくさんいるはずで、私が自分の無能さをさらけ出せるようなものを書いたら、どこかの誰かは共感してくれたり、心を打ってくれたりするんだろうか。涙を流してくれるだろうか。私の創作が、どこかの誰かの心の糧になってほしい。そう願う限りは、私はまだまだ創作の道を歩いていけるのだろう。


歩く。歩く。歩く。今は転んでいる状態でも、起き上がれるその時まで、みっともなく足掻いてみようと思っている。

 

 

 

泉花凜の文字語り - にほんブログ村