執筆のお守り
執筆中は孤独だ。
書いている最中は自分の力量不足にあえいだり、語彙力が足らなくて辞書をひっくり返すはめになったりと、そのほかにも諸々の障害が重なって、ハッピースマイルで書けることはほとんどない。
テキスト画面のそばに、守護神のようにディスプレイしている本がある。
岡本太郎の自伝的エッセイ「自分の中に孤独を抱け」
村上春樹の創作方法論「職業としての小説家」だ。
どれも物書き、クリエイターとしての心構えを力強く説いてくれる良作で、息詰まった時は、二人の巨匠の言葉を借りて自分に叱咤激励する。
自分は一人で書いているけれど、自分の周りには同じ創作の海を渡る同志がいて、互いに一人きりで戦っているのに不思議と寂しくない。そんな気持ちにさせてくれる。
何より、連綿と続いてきた芸術と文学の二大巨匠に見守られている気がし、勝手にありがたみを感じている。おめでたい頭でよかった。
今日も私はワープロの画面にしがみつく。楔を打つような深刻さで。またある時は、長距離ランナーのような真剣さで。