泉花凜の文字語り

Web小説家の文字語り置き場

毎日ぽむぽむ2022 「創作力」

創作力

 

 家で執筆している。

 基本、外ではしない。カフェやレストランなど、公共の場所で物を書いている作家さんはすごいと思う。人目を気にせず、人様にふれる文章を生み出す、すさまじい集中力。

 特に、小説を外で書ける人はすごい。

 エッセイなら私も短い文章をカフェで書くことがあるが、物語を紡ぐ行為は思考回路を究極まで詰めるので、とても真似できない。

 そもそも小心者だから、人の目が気になってうまく集中できない。完全に一人きりの部屋でないと、私の脆弱な脳みそは自由に活性化しない。

 一人きりの私。創作と正面から向き合う私。一対一の戦い。または腹のさぐり合い。あるいは支え合いや助け合いに近いもの。

 孤独な夜。家族が寝静まった完全な静寂の場所にて書かれる文章は、普段の執筆状況とはまた違う高揚感を引き出してくれる。

 私は今、これを書いていて、そこには誰の視線も介入していなくて、この空白のページには私の意思しか存在しない。

 朝になれば、つかの間の楽園(または牢獄)は終わりを告げる。家族が起き出し、今日一日の日常が時間の針を回し始める。

 この、時々やってくる、睡眠したくないほどの高揚感は、物書きとしての「創作意欲」がわき出た至極の瞬間なのだ。

 一刻も早く、頭に降りてくる「何か」を書き記さなければならない使命感。今寝てはいけない切迫感。

 私は「何か」を書くために存在する。

 と、いっぱしの作家気取りで証言してみる。

 創作は、一人きりでこそ光る。

 孤独は、私(たち)にとって、かけがえのない宝なのだ。

 創作と孤独は紙一重。だからこそ素晴らしいし、切ないし、苦しくて残酷。

 一生付き合っていくべき、私だけのアイデンティティーである。

 

 

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